せのび。

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ふと柏木くんが「あ」の形に口を開いたとき。 「あっつー。 何、おまえらデキてんの? つーかさっきから俺おいてけぼりなんだけど?」 「!!」 「ちっげーよ馬鹿。 誰がこんなちびっこ」 「なっ……! ちびっこって何それ!」 破られた沈黙で、またいつもと同じ空気。 「事実じゃん。 つーか俺、美依はナイわ」 一瞬、ちくりと胸の奥が傷んだ。 「何なの本当に。 すっごい失礼ー。 私だって柏木君なんか圏外だよ!」 俯いた顔が、グニャリと歪みそうになる。 言いたくもなかったセリフを吐いたら、後は後悔だらけだった。 「……あー。 なんつーか、ごめん」 微妙な空気の中、柏木君のお友達、もとい原田君の謝罪だけが消え入りそうな声で響いた。
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