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「拓哉、今日ね。今日ね。」
桜の木々が並ぶピンク色の道を、私と彼―拓哉が歩く。
私達は昔からの幼なじみ。
だから、周りから"可愛いカップル"と言われても、彼は何とも思わない。
―私は?
私は、真っ赤な顔で、夏にもまだなってもないのに熱くなっている。
熱い。身体中が。
私は容易には彼の顔を見る、そんな事はできない。
彼は、様子が可笑しいと思ったんだろう。
そっと私の顔を、覗き込んだ。
「…た、拓哉っ!?」
私は今日、何度目か知らない失敗をした。
声が裏返ってしまったのだった。
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