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「うがあああっ」
憂木の思考回路を経由することなく、本能が叫びを上げさせた。
冴島の左手が憂木の股間へ潜り込み、睾丸を握っていた。
かつて、打撃練習やスパーリングで、金的を貰ったことは何度かあった。
しかし、それはいずれも瞬間的な接触であり、鈍い痛みは残るものの、痛みのピークは一瞬だった。
今は、違う。その激痛が、ずっと続いている。
憂木は、本能的な恐怖が支配する頭で考えつく限りの、抵抗を試みる。
しかし、痛みとともに、下手に動くことへの恐怖心がさらに膨れ上がる。
握り潰される。
引き千切られる。
顔を紅潮させ雄叫びを上げ続けながら、憂木は脚をばたつかせ、上体を揺らし、それでもグリップは決して離さなかった。
やがて憂木は、失神した。
憂木の両手を振りほどき、やれやれといった表情で立ち上がった冴島は、憂木に向かって言った。
「潰しちゃいねえよ。その年齢でオンナ抱けなくなったら、自殺モンだしな。」
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