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「いいか。新団体ん中で、俺は独立する。直弟子はお前さんだけだ」
国原はグラスを一気に煽ると、明神を見据え言葉を続ける。
「お前さんは、憂木を敵だと思え。ライバルとか目標とか、甘っちょろい話じゃねえぞ。親の敵ぐらいに思っとけ」
「でっ、でも、憂木さんには……」
「憂木さんじゃねえの。ゆ・う・き!」
明神が肩を竦める。
「お前さん、そろそろ気づいたらどうだ?自分の人生、自分が主役なんだぜ?
いつまでも誰かの引き立て役になってたら、ジジィんなって、死ぬ時に後悔するだけだ。
俺たちは、新団体で主役になるんだよ。
お前さんは憂木を、俺は冴島をぶっ倒してな。
俺たちみたいな、日の目を見ないヤツらが実力でトップに立つんだ。
面白えと思わねえか?」
「いっ、いや、あの……」
「お前よぉ、今さら四の五の抜かすんなら、俺がぶっ殺すぞ」国原はニヤつきながら言い放った。
「やります!……自分、もっと強くなりたいです。憂木を、絶対に潰します」
国原は口元に笑みを蓄えたまま、その細い目を一層細め、勢いよくグラスを空ける明神を嬉しそうに見つめていた。
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