二章 ~矜持~

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   道場に隣り合わせた八畳間に、二人は稽古着のまま寝転び、共に天井を見ていた。 「もう、一カ月だな」 「ええ」 「オマエ、よく飽きないな」 「……稽古ですか?」 「馬鹿。ここに籠もりっきりなのがだよ」 「いや、全然。別に行きたい所もないし、外はマスコミも煩そうだし」  夏目は傍らの憂木をちらと見やり、言葉を続ける。 「まあ、な。オマエ、注目されてるもんな」 「恵一さんだって…」 「いいよ。気ぃ遣わなくて。 新団体の噂で、冴島さんの次に出てくるのはオマエの名前ばっかりだしな。 俺はその他大勢で十分。その方が気楽でいいさ」  憂木は少し申し訳なさげに肩を竦めると、再び口を開いた。 「……通用、しますかね」 「早坂流が、か?」  憂木は相槌を打つ代わりに、夏目を見やった。 「するさ。喧嘩芸の看板は伊達じゃない。 後はどう、自分の中に組み込んでいくかだな」
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