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と、以前なぜそんなに自分の製品を買うのかとタイラン氏に聞いてみたところ、熱く語ってくれたのだ。
「分かりました。では直ぐに――」
そうスレットは言って、ロビーのコントロール・パネルを操作する。何回かの操作を終えた後、タイラン氏の前に一つの小さな箱――マイクロチップが入っている――が淡い光と共に出現した。箱をまるで割れ物を扱うかのように大事に手に取ったタイラン氏は、安心したように爽やかな笑みを浮かべた。
「お約束の品になります。確認のためここで試しに使用する事も出来ますが――」
「イヤイヤいいよいいよ! このまま持って帰ってすぐにでも使いたいんだ!」
商品を受け渡す際のスレットの決まり文句を遮ってまで言ってきたことから、嬉しさが伝わる。スレット自身も思わず顔が綻ぶ。
「じゃあありがとうございます、イーハイトさん! 代金はいつもの通りにね! それじゃあまたよろしくお願いします!」
いえいえこちらこそありがとうございます。そんなスレットの言葉を聞く前にタイラン氏は早々とロビーを出て行ってしまった。
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