巨人遊泳

小人が見上げる空

　つまり、「進んでいる技術」という点に置いては《工技士長》であるスレットは『持っている者』としていい。しかし、「ニーズを抑えた技術」という点に置いては《工技士長》であっても『持っていない者』なのだ。一見(電波制御)は《電気電子制御》に含まれている、類型に見えるが、工業技術を重んじていて、その細分化をしている工技人類からしたら全くの別物だった。

　だからスレット・イーハイトは工技士長でありながら、いまいち垢抜けない存在であった。あるはずだった。あっていた。スレット自身も諦めていた。

　しかし今は違う。

　今ほど、とある一つの工業技術が最たる物とされていた事は過去にも未来にもないだろう――そう、《電波制御》がこの一年の間にかけて異常な需要があったのだ。

　その需要の理由は工技人類にとって、当然のものとも言える。

　彼ら工技人類、一見では《小人》である者達は《巨人》とされる者達に牙を剥く。

　革命だ。

　革命を起こすために必要不可欠であり、始まりであり、終わりであり、メインでもあり――。

　それが、《電波制御》であった。