小人が見上げる空

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 二つの人類がいる。  《小人》と《巨人》。  《小人》は《工技人類》のことである。  では《巨人》は――。  巨人の名称は《総司人類(バイオサイト・ピテクス)》。  総てを司どる人類など、工業のために生きる人類からしたらたまったものではない名称である。それでいて比べ物にならない程、巨大ときたものだ。工技人類からしたら総司人類を畏怖の対象として見るな、というのは無理な相談であった。  総司人類はその圧倒的な巨大という優位がある。しかし、意外な事かもしれないが、だからと言って巨大達は小人達に対して優位であろうとはしていない。  客観的に見ても、むしろ彼らの関係は厳密な法律や総司人類間での力によって、極めて対等で平和なものであった。  しかし小人達はそうは思わない。確かに関係や社会は〝一見対等である様に見える〟。でも、小人達からはそうなっている事が不思議で堪らなく、故に恐れている事であった。  そもそも総司人類には工技人類と対等でいる理由がないのだ。正確には工技人類からしたら総司人類が自分たちを蔑ろにしない理由が分からないのだ。
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