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そして、メイド姿の彼女はマリアンという。彼女は見た目は女性だがケネスが生まれる前に製造された高性能の人工知能を持つ機械でできた人形、いわゆるアンドロイドだ。マリアンはケネスの身の回りの世話をしている。ケネスにとってマリアンは母親のような存在となっていた。
「マリアン・・・」
ケネスは一度マリアンの方へ振り向いたが、再び荒れ果てた荒野を見る。
「この星はどうなっていくのだろう・・・。」
「以前よりも確実に緑が少なくなってきています。この間もウルジットとウィツェレとの間で戦闘があった模様です。」
「・・・人間って、本当に愚かだと思う・・・。」
ケネスはそう言ってそのまま荒れ果てた荒野を見つめる。しばらくの沈黙。
「ケネス様、長時間風に当たっていると体によろしくありません。それに、朝食のスープが冷めてしまいます。そろそろお部屋にお戻りください。」
「あぁ、ごめん、マリアン。」
そう言ってケネスがバルコニーから部屋に戻ろうとしたとき、空に一つ小さな影が現れていることに気がついた。
普段見慣れない影。その影は次第に大きくなっていく。
鳥だろうか?
この星で鳥を見かけるのは大変珍しい。大半は森や湖の近くに生息しており、このような荒野の中で飛んでいる姿を見かけるのはそうそうあり得ない。
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