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巨大な影ははっきりとした形で、目視できる位置まで接近していた。その場所は王都バルディアから目と鼻の先。今のところその場で停止したまま動きは見せていない。
ケネスはすぐに寝間着から着替え、部屋を飛び出し廊下を走る。マリアンもそれに続く。行き先はバルディアの軍司令部だ。ケネスの知る限りではあのような空を飛ぶ軍艦は見たことが無い。何処の所属の軍艦だろうか?
ケネスは軍の司令部のドアの前までたどり着くと、ドアの前に設置されているパネルに手を当てる。軍の司令部は関係者以外立ち入り禁止となっている。そのため、入室する際には認証を受けなければならない。この装置は手の情報を読み取り、関係者と認められれば扉が開く仕組みとなっている。
ケネスは関係者の一人だ。パネルに手を当てると1秒も発たないうちに目の前の扉が開く。
軍の司令室にはすでに司令官クランダ・ケレスウェルがいた。彼は軍服姿でメガネをかけており、見た目からしても真面目だけが取り柄という風貌をしている。しかし、その能力は有能で、これまでも他国からの侵攻に対して直接軍を指揮し、勝利に導いてきた。
その隣にバルディア国王であり、ケネスの父親であるオレオ・イレ・バルディアがいた。彼は少しがっちりした大きめの体格で顎に立派な髭を生やしている。そして、静かに状況を見ているといった状態だ。
彼らの目の前には防弾ガラスがあり、有視界で外の様子をうかがうことが出来る。また、天井からは巨大なモニターが吊されており、様々な情報がそこに映し出されている。そして、その下には十数台のコンソールがあり、その前でオペレータが必死に作業をしてい
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