崩壊

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る。軍の司令部の内部は非常に慌ただしい。それもそのはずだ。所属不明で正体不明の軍艦が王都バルディアの目の前にまで迫っているのだから。  「クランダ!状況はどうなっているの?あれは何処の国の軍艦なの!?」  「これはケネス王子!現在確認中です。あらゆるチャンネルを使用して通信を行っていますが、いまだ応答はありません。」  目の前のモニターには巨大な軍艦の姿が映し出されている。その大きさはケネスが今いる王宮がすっぽり隠れてしまうくらいの大きさだ。軍艦は今のところ動きは見せていない。空中に浮いたまま静止している。その姿は船首はとがっており、船底は海を走る船のような流線型をしており、その上の甲板は広めにとってある。そして、その奥に艦橋のようなものが見える。  「しかし、あの船は何処の国の所属なのでしょう?私にはあのような船を建造する技術のある国家がこの星に存在するとは思えません。」  クランダが思わずつぶやく。  この星での戦争では主に戦闘機や戦車を使用する。このような空飛ぶ軍艦は、使用されたという記憶はクランダをはじめ、ここにいるオペレータやオレオ、ケネスには無い。  ただ一人を除いて。  「私のメモリーには遙か昔、この星を脱出し、新たな生活の場を探すために建造された空飛ぶ船が存在していたと聞いています。この船は・・・形は違いますが、その船に非常に似ています。」  アンドロイドであるマリアンが答える。長い間稼働しているマリアンの記憶ならばその
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