ファイル01 ダイイング・メッセージ

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私立探偵・江戸川耿之介(えどがわ こうのすけ)は、ピンポーン、というチャイムの音で読んでいたミステリー小説から顔を上げた。 「はい、どうぞ」 「失礼するよ、江戸川」 そう、低い、よく響く特徴ある声と共に入って来たのは、大学時代の友人であった上杉左京(うえすぎ さきょう)だった。彼は国立大学を卒業後すぐに警視庁に入庁し、刑事部捜査第一課に配属されたエリートである。大雑把な性格で、どちらかといえば体育会系の体格だ。しかし、頭もそこらの刑事よりは頭の回転が早い。今までいくつかの難事件を解決したことで、今では階級は警部である。 「やあ、上杉じゃないか! 久しぶりだな! 今日はいったい、どうしたんだ?」 がっちりと握手をかわしながら、旧友をソファーに進める。
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