最終章・妹

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その3日後 俺は先生に特別に許可をもらい、 澪と一緒にあの花畑に向かった 「ゴメンな麗奈、車で送ってもらっちゃって…」 「いいよ、全然。花畑ってどんな所なの?」 「かなり広い公園なんだけどそこに花畑があってさ そこの公園の中心に、めちゃくちゃ大きい桜の木があって…俺達の思い出の場所なんだ」 「へー…今桜満開の時期だから そのめちゃくちゃ大きい桜も満開だろうね!」 澪を見ると澪は窓の外を見つめていて どこか寂しい背中だった 「澪、着いたよ」 澪を車イスに乗せて車からおりる 目の前には 色とりどりの花が咲く花畑 そして満開の大きい桜の木 「…」 澪の目は、久々に輝いて見えた 車イスをゆっくり押すと 「…待って」 「え?」 「自分で…歩く」 そう言って 足をゆっくり地面に出して 手を震えるくらい力を入れて 澪は立ち上がった 「澪が…」 「立った…!」 でもすぐに倒れそうで、 ふらふらしていた 澪は、右足をゆっくり踏み出して 左足も踏み出して ゆっくりゆっくり歩く ズサァッ ふらついて思わず倒れても 俺は澪の近くには寄らなかった はじめて、こんな一生懸命な澪を見た これが… 最初で最後なのか…
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