60人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「澪早く!」
「ちょっと待ってよお兄ちゃ…きゃっ!!!」
玄関に走っていった澪は
派手に転んだ
「いったぁー…あははやっちゃった!」
「おい大丈夫かよ…膝赤くなってんじゃん」
赤くなった膝を撫でる
「大丈夫大丈夫!ほら、行こ!!」
立ち上がって、俺の腕を引いて
ドアを開ける
「おばあちゃん!」
「澪、隼人、よく来てくれたわね~」
「ばあちゃん、この前ぎっくり腰になったって聞いたけど大丈夫?」
「大丈夫だよ。隼人、私の事より仕事の事を考えなさい?」
「でもばあちゃんが心配だよ…
やっぱり俺達と暮らした方が…」
「じいさんが残したこの家を置いてく訳にはいかないよ」
「おばあちゃん、なんかあったらすぐ言ってね?
私が駆けつけるからさっ!」
「ありがとう澪、でも澪?あなたも自分の花屋を開くのが夢なんだから、
ちゃんとバイト頑張りなさいよ?」
「わかってるよ」
「アンタたちがこんな大人になって…
可南子と祐司もきっと喜んでるわよ」
「…そうだね」
可南子と祐司というのは…
俺のお袋と親父
澪のお袋
…澪の親父は、お袋が澪を産んですぐに事故で死んだ
親父はお袋と離婚して行方不明に。お袋は澪が家に来て6年後に事故で亡くなった
…そう、
家には俺と澪二人暮らし
「ところで隼人」
「ん?何?」
「アンタもう30でしょ?結婚はしないの?」
「いや…いいよ結婚は…
そういう人いないし」
「えーもったいない…」
最初のコメントを投稿しよう!