61人が本棚に入れています
本棚に追加
「…わかっています」
「この事は、澪ちゃんには絶対に言っちゃダメだよ
言ったら、あの時みたいに精神状態を崩してしまうかもしれないから」
「………はい」
「本当は今から入院して欲しいんだが…
僕たちには何も出来ない…」
「…俺も、
入院して少しでも長く生きて欲しいけど…
無理なんすよね…」
「…悪かった…
何も出来ないままで…」
「いえ…じゃあ…俺行きますね」
ドアを開けると、
澪が待ち遠しそうな顔をしていた
「お見合いの人…どんな人だった!?」
目を輝かせながら俺の目を見る澪の瞳は、透き通っていた
「いや…全然タイプじゃなかった」
「えー!!見たかったなぁー…先生のバカ!早く帰ろ!!」
無理矢理手を繋いで、病院を出た
「今日いい天気だねー。お弁当持ってどっか行きたいなぁー」
空を見上げて言う澪は、
これから自分の身になにが起きるかわからないみたいに
無邪気だった
「あっ!!花!見てお兄ちゃん!!!」
澪は花壇に咲いたパンジーに近付く
「可愛い~…」
パンジーを人差し指でつつく澪は、
通りすぎる男が振り返るほど美しかった
…澪は、
昔から花が好きだった
小さい頃に、よくお袋と3人で花畑行ったっけ…?
『見てお兄ちゃん!お母さんがやってくれたの!』
そう言って、
お袋が作った三つ葉の髪飾りをつけてはしゃいでたな…
澪は、パンジーを携帯の写メで
3回撮った
最初のコメントを投稿しよう!