迫り来る恐怖

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「先生っ!」 さっき病室を出てった先生を追いかけた 「先生、どうしても… 澪は助からないんですか…!?」 先生は言いにくそうに、目を閉じて首を横に振る 「澪は… 俺の妹は… 生きたいって言ってるんですよ!?」 俺は先生の肩を掴み揺らす 「澪…やっと本音を言ってくれたんです!! 生きたいって! それを俺が叶えてあげたいんです!!」 「隼人くん!」 揺らす手を掴んで止める先生の目はかすかに潤んでいた 「僕だって…澪ちゃんに出来る限りの事はしてやりたい、けど… 澪ちゃんの中にいる腫瘍は… 待ってくれないんだよ…っ」 先生の言葉で… 一気に現実に戻された なんとしても澪の願いを叶えてやりたい。 ただそれしか考えられなかった 「澪ちゃんは…もう長くはないんだよ…っ!! 僕にも…もうなにも出来ないんだよ…」 悔しそうに震える先生を見て 涙が込み上げた 「…くそ…っ くそぉ…っ!! くそぉぉっ!!」 俺は床に座り込んで、床に拳を叩きつける 俺は…なにも出来ないのか…? ただ妹の死を 見送る事しか出来ないのか? 澪は… あと少しで空へと旅立っていく 残された俺はどうなる? 愛しくて愛しくてしかたがない妹がいなくなったら 俺は…どうなる?
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