迫り来る恐怖

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翌日、カフェで麗奈と話していた 「泣くなって… 俺には…なにも出来ないんだよ…」 「…澪ちゃんに何もしてあげられてない…」 …本当 麗奈のいうとおり 俺はなにもしてあげられてない こんな時こそ…支えてやりたいのに 病院に戻ったのはあれから2時間以上話してから後 「澪、遅くなってゴメンな?」 病室に行くと、澪はボーッとしていた 「澪?」 目があうと、澪はポカンとした顔で俺を見つめた 「・・・澪…?」 澪は俺の顔を見て 首を傾げる 「・・・誰?」 この瞬間。 俺の心臓が 大きく音を鳴らした 「澪…俺だよ…?隼人だよ?」 「澪?それが私の名前?」 自分の名前までわからないなんて… 俺はすぐナースコールをした 先生が来る間に澪は眠ってしまった。 「記憶が曖昧になるって事は…もう長くないって事だよ…」 俺は眉間にシワをよせ、自分の服を握りしめる 「…すいません…っ!」 俺は、耐えきれずに涙を流した すると… 「お兄…ちゃん…」 「…え?」 澪はまだ夢の中で…寝言だった すやすやと小さな寝息をたてて眠る澪を見て… 胸が締め付けられる 「泣かない…で… お…兄ちゃん…」 「…っ!…澪…っ!」 澪に近付くと、 澪の左手には、たくさんの痣があった きっとそれはストレスで…感覚のない手を試すかのように 噛んでいたんだ 澪の頬に 涙が落ちる 「澪ちゃんっ!」 すると、麗奈が走って病室に入ってきた 「麗奈…」 俺は、 ある事を決意した すると… 澪がゆっくり目を開けた 「お兄…ちゃん?」 記憶が戻っていて すこし安心した 「澪… 花畑、行こう」 澪の手をぎゅっと握る 「あの花畑…行こう」 「隼人…っ!それはいくらなんでも…」 「先生…行かせてください 澪との…最後の思い出なんです!」 「…わかった」 眉をすこし下げて 瞬きをする澪の手を ぎゅっと握った
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