最終章・妹

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「え…?」 「いや…あなたを見てると… なんかこう…懐かしくなるというか…」 なんて返せばいいか、わからなくなった 「…ただの考えすぎですよね… すいません、忘れてください」 笑ってごまかしたその人は、 店を出ていった …似てた 本人かと思うくらい… 俺は左手に握っていた、澪の手紙を思い出して紙を開いた 『お兄ちゃんへ この手紙を読んでるって事は… 私はもう…そこにはいないって事かな 私、お兄ちゃんには本当に感謝してるよ? お母さんが死んでから、ずっと私のそばにいてくれたから となりにいてくれたから 私はくじけなかった。 本当にありがとう いつか…生まれ変わったら お兄ちゃんのそばにいたいな… 浅倉澪としての人生は終わっちゃうけど、また新しい人生が…来るって信じてるから。 ありがとう、お兄ちゃん。 大好きだよ、お兄ちゃん。  澪』 ガタガタの字はあの日必死で書いていたやつだとすぐにわかった …もしかして… あれは…澪のそっくりじゃない…? 俺はマーガレットを一本持ってあの人を追い掛けた 店を出ると もうあの人の姿は無くて走っても、あの人の姿はなかった 「あ…っ」 桜並木が綺麗な道で、ゆっくり歩いていたあの人がいた 「あのっ!!」 俺の声に髪を揺らして振り返る 「はい…」 「はぁ…はぁ… こ、これ…」 マーガレットを渡すと、表情を明るくさせる 「いいんですか?」 「はい…」 「ありがとうございます!」 「はぁ…あ、あの…」 「??はい」 「名前…聞いてもいいです、か…?」 その発言に、なぜかきょとんとするその人。 「名前…ですか?」 「はい…」 「花桜美緒ですけど…」 「…そう、ですか…」 笑顔がこぼれた俺に、その人は笑う 「あなたは?」 「浅倉…隼人です」 「隼人さん…よろしくお願いします、隼人さんっ」 「…お願いします」 二人で笑ってると、風がヒュンッと吹き、 桜の花びらが彼女の頭についた ~fin~
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