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4月15日
ゆるゆる散歩をしていると、いつぞやの子猫が風船のようにふくらんだミミズを追いかけまわしている。
私は微笑ましく眺めながら散歩を続けた。
4月17日
ドアを叩かれたのでハイハイと出てみると、お隣の加藤さんだった。
加藤さんは料理が好きで、よく足りない調味料を借りにくる。
今の時期ならきっと、桜とこどもと筍の蜂蜜漬けに使うための蜜蜂が足りなかったに違いない。
私と加藤さんはたわいない雑談をきっかり15分間した。
雑談中、私はずっと蜜蜂をどこにしまっていたかを考えていて、気の抜けた相槌をうつことしかできない。
蜜蜂の在処がわからないままに、とうとう加藤さんは、そうそうと手を鳴らしてしまった。
「そうそう、ガマ油を貸してくださらない?」
ちょっと切らしちゃったもので、と言う加藤さんに、内心ほっとしながら、ええもちろんと答える。
そういえば、加藤さんは最近、ガマ油で作るドレッシングに凝っているのだったと思い出した。
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