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あれから、どれくらいか時間が経った。
外は先程よりも酷い雨が降り、部屋は雨の音と静寂が流れる。人の会話も無く、テレビもついていないこの部屋では、コップの中で微かに波打つコーヒーの香りで少し気持ちが和らいだ。
「いつまで寝るんだよ……」
一口、コーヒーを飲み、口を開く。
見つめる先ーー畳み十畳ほどの寝室のダブルベッドには、死んだように眠る少女。
生きているのか死んでいるのか、疑うほど、少女は静かに眠りについている。
「まだ、寝るのか?」
やれやれと首を傾け、腰掛けていたイスから離れて少女の眠るベッドに近づいた。
そして、一瞬の沈黙。
「……綺麗だな」
思わず本音が口から洩れる。
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