~自宅~

2/45
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
 あれから、どれくらいか時間が経った。   外は先程よりも酷い雨が降り、部屋は雨の音と静寂が流れる。人の会話も無く、テレビもついていないこの部屋では、コップの中で微かに波打つコーヒーの香りで少し気持ちが和らいだ。 「いつまで寝るんだよ……」  一口、コーヒーを飲み、口を開く。  見つめる先ーー畳み十畳ほどの寝室のダブルベッドには、死んだように眠る少女。  生きているのか死んでいるのか、疑うほど、少女は静かに眠りについている。 「まだ、寝るのか?」  やれやれと首を傾け、腰掛けていたイスから離れて少女の眠るベッドに近づいた。  そして、一瞬の沈黙。 「……綺麗だな」  思わず本音が口から洩れる。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!