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窓の外からは、初夏の陽気によって渇いたアスファルトに打ち付けられる激しい雨の音が鳴り響いていた。
ーーとある、会社の一室。一人の若い男が窓際でタバコを吸い、憂鬱そうに溜め息を吐いた。
「なんで雨なんだよ……」
つい、洩れる本音を飲み込む様に、俺は開いたままの口を硬く閉じた。
「咲夜くーん!」
「さっくー!」
突然、背後から聞こえる聞き馴れた二つの奇声に、反射的に指で耳を塞いだ。
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