死体少女

～日常～

「もー、耳塞ぐとか禁止ー！」

　そう言って、しつこいくらいに抱きついてきたのは会社の同僚。名前は笹川 亮(ササガワ リョウ)。

　小学校からの友達で、いわゆる腐れ縁。

　程好く小麦色に焼けた肌に、艶のある明るいブラウンの髪は、サイドでピンで×に交差して留めてある。服装は赤チェックのYシャツにダークブルーのジーパン。耳にはいくつものピアスを着けていて、一言で言えばチャラ男。

　どこからどう見ても会社の規則を破りまくりのこいつが仕事を続けていられる事が不思議でたまらない。ーー風の噂では、会社の社長の娘さんを上手く手駒に取ったとも聞くが……。

「ねぇ、さっくー？聞いてる？」

　ベッタリと抱きついたままの亮が、よく分からないあだ名で話し掛けてくる。俺は亮を一旦引き剥がす。

「……なんだよ？」

　めんどくさいオーラを放ちながら、とりあえず話を聞くことにした。