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なんだよ…あれ…! オレは慌てて舞台裏へと向かうと、目の前を二胡ちゃんが走り去る。 「二胡ちゃん!」 呼ぶ声も届かず二胡ちゃんはホールを出て行った。 「何があったんだよ…!」 オレは二胡ちゃんを追いかけるようにホールを出る。 辺りを見回してみても二胡ちゃんの姿を見つける事が出来なかった。 なんで…髪が…? オレはもう一度ホールに戻って舞台裏へと向かった。 「やめろって!!純ちゃん!!」 匠の大きな声が響く。 見ると、匠が自分のモデルを後ろから必死に押さえ付けていた。 「ちょっと手が滑ったのよ。それにちゃんと謝ったじゃない…!」 あれは…うちのクラスの斉藤…? よく見ると床には真っ黒で光沢ある髪が散乱していた。 「なん…だよ…これ…?」 オレは目の前の光景に頭がグラグラと揺れる。 「絶対ワザとやったのよ…!!じゃなかったら、なんでそんな平気な顔してんのよ…!?」 匠のモデルが今にも噛みつきそうな勢いで斉藤につかみかかる。 咄嗟にオレは斉藤と匠のモデルとの間に入る。 「洋司…!」 匠が焦った顔でオレ見る。 匠のモデルを制し、オレは斉藤の方を見た。 「あ…」 斉藤は言葉を詰まらせ、青ざめた顔をしてうつむく。 「さっきから何騒いでるの!!?」 講師の先生が騒ぎを聞きつけてやってくる。 講師がその光景を見て眉間にシワを寄せる。 「授業が終わったら、職員室まで来なさい!!」 講師がオレたちの顔を見て、さっきまでいた場所に戻る。 一瞬にして、その場に沈黙が流れる。 「斉藤。ちょっといい?」 そう言って、返事を聞かずオレは斉藤の腕を掴んでホールを出た。
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