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「ねぇ、藍羽さ」
「るぅ…俺に構えよ」
俺に話しかけようとしたるぅの腕を掴み、紅ちゃんが低く囁いた。
俺が言われたわけじゃないのにキュンとしちゃうのは、俺が紅ちゃんのこと、好きなんだからしょうがない。
それでもずきって心が痛むのは、それを言う相手が俺じゃないから。
俺の好きな人、──紅ちゃんは、るぅが好きだ。
そういうのには比較的疎い俺でも気付くぐらいの、分かりやすすぎるアタック。
どんだけ好きなんだよって。
ちょっとでも俺がるぅと絡むとすぅぐヤキモチ妬いちゃう。
…今みたいに。
俺から、るぅを守るみたいに。
大丈夫なのにな。
「くふふっ…紅ちゃんのやきもちやき」
「待っ藍羽さん!」
「だいじょーぶっ!俺のことは気にしないでゆっくり2人で、…ね?」
「…っ……紅さん、行きますよ」
「ごめんな緑兎、ちょっと行ってくるわ」
先に楽屋を出ていこうとしたるぅを追いかけ走り出す紅ちゃん。
扉が閉まる音と同時に涙が頬を伝うのを感じた。
(…いい加減にしてくれない?)
(緑兎に近付くな)
(あんたのものじゃないでしょう?)
(緑兎とるぅが喋ってるの見てるとイライラするんだよね)
(んふふっ…やきもちやき)
(そうだよ、だから)
(ねぇ紅さん。…いっそのことさ、)
(なっ…ッ、んんっ)
(付き合っちゃおうよ、俺ら)
(意味わかんねぇ…)
(だって藍羽さん、どうせ振り向いてくんないもん)
(ちょ、ゃめっ…)
(藍羽さんは俺らが付き合ってると思ってるんだから。それともなに、自分には振り向いてくれるとでも)
(わーったよ!つきあえばいいんだろ!でもキスすんのはやめろ)
(交渉成立。よろしくね?こーさん)
end
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解説が必要な小説もどうかと思うけど一応解説。
a→ただただsが好き。でもsはnが好きだと勘違いし、sのためなら自分は諦め応援する覚悟。
s→aが好き。nとaが話しているのが気に入らず、徹底的に邪魔をする。
n→aが好き。aと話そうとするもsにいつも邪魔される。その内にaがsを好きだと気付きはじめる。sとaが付き合い始めるくらいなら自分がsと付き合う方が良いと考え、sに付き合おうと持ちかける。
n→a→←s
ただいまのブーム、nsとn→a、s→aを組み合わせたらこんなことに…
(君夢にも載せた小説)
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