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まあ取り敢えず壁から抜け出すか。
ぐっぐっと体を捻らせ腕から抜き、壁から転げ出る。
「ういうい、体いってぇ。ストレッチストレッチ」
ゴキゴキゴキッと背骨から音が鳴り、屈伸等したら至る所が鳴りまくった。
「鬼魂、近くに居るか?」
「右後ろ1m、すぐ近くだぜ」
平田広明voiceが言葉通りの方向から聞こえる。
振り向くと、俺が埋まった直ぐ横に壊れず突き刺さっているのが確認できた。
「ふむ、これが異世界補正か。視界が赤いな」
「その前に引き抜いちゃあくれねえか?」
「ああ、そうだな」
手を掛け引っ張ると、簡単に抜け、新品同様に傷がない状態だった。
「鬼魂、気絶していた時間は」
「お前さんがシートから離れて、三時間ちょっとだ」
「ほう、だったら狐塚の馬鹿はフラグ建てて能力を覚醒させて居るだろうな」
「お前だってもう能力開花してんぞ。その目とか」
改めてサイドミラーを覗く。
そこには右目が真っ赤に染まった俺が覗き込んでいた。
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