第七章 善は悪へ

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 その時間は永遠に続くかのように……長く感じた。いや……実際問題、永遠に続くのかもしれない。  俺に救いはあるのか? ……ない。救われるには絶対に切り開く事の出来ない未来を行くしかない。  でも……その未来は塞がっている。伝説の英雄でさえ乗り越える事の出来ない巨大な絶壁で。  何回……俺は一体何回繰り返しただろうか? 今までのループと……茂と出会って世界の終わりに立ち向かうためのループ。合わせて一体何回俺は繰り返した?  結局……俺が何回繰り返そうが未来には絶望しか待っていない。茂が俺を中心に練った計画も所詮……無駄でしかなかったのだ。  最初はまだ希望を持てた。 『どうして……どうして泣いてるんだゼラス?』  初めて……この世界の終わりの真実を知った……デーモンの存在を知った時のループで、俺は一ヶ月前には戻らず、六月二十六日……一週間前の魔法模擬戦闘大会の日へと戻った。  失いたくなかったのだ。茂との出会い、鉄軌やステラや武史との思い出。そして俺に対する記憶を……失って欲しくなかった。いや……失われるのが怖かったのだ。  だから俺は一ヶ月前には戻らず……一週間前、六月二十六日へと戻った。  気付けば屋台を一緒に回ってた時のムイが目の前にいたのを覚えている。未来から過去へと戻って来た俺は……あまりにも報われない最後を思い出し、自然と涙を流していた。 『なんでもない……なんでもないんだ』 『いやいや! なんでもない訳ないだろ! ゼラスが泣いてる所なんて私小学校の時以来見た事ないんだぞ!?』 『とにかく……茂を、茂を探さないと!』  俺は茂との約束を果たすため、茂へこれから起こる未来の出来事を伝えた。伝えたのもそうしなければならないとかではない、只純粋に……絶対に無駄だと分かっていても俺には茂にすがるしかなかったからだ。 『そうか……じゃあ俺は、未来の俺は死んだんだな』 『死んだ……茂だけじゃない、皆……一瞬の成功の喜びを感じた後の絶望を味わい死んでいった』 『辛い役目を押し付けて悪かった……後は任せろ』  『後は任せろ』……よく言えたものだ。結局何も出来ない分際で。
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