第七章 善は悪へ

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 正直な所、まだこの段階での俺は茂が世界を救ってくれると信じていた。  いや……信じないとやってられなかったと言った方がいいだろうか?  もうわかっていた、茂にもこの事態はどうしようもない事を。でも……認めたら壊れてしまいそうでどうしても信じてやり続けるしかなかった。  そもそも一週間でどうこうできる話じゃない。でも俺はずっとこの一週間をやり直し続けた。例え一週間でも一ヶ月でも……どうせ変わらない。  それに……また一々自己紹介からやり直すのも面倒だった。いや……違うな、もしこれで一ヶ月前に戻って、茂に「どちらさん?」何て言われたら……わかっていても殺したくなってしまうからだ。  それだけ……俺の精神状況は狂っていた。 『な……嘘だろ!? 何で結界まで!?』  茂の作戦はことごとく潰された。そりゃそうだ……たった一週間で計画した穴の空きまくった計画の成功率なんてたかが知れている。  ……世界を救うには大きな問題が二つある。  一つは真っ暗な空間、全てを消し去るあの空間を止める事。あれを止めない事には死は免れない。  それと……不思議な事に、デーモン達はその真っ暗な空間を自由に出入りする事が出来る。  つまり……あのデーモン達は地球外生命体、この宇宙空間に生存していた生物なんかではなく、あの真っ暗な空間の先にいる何かなのだ。  これに気付いたのは何回目の絶望を味わった時だろうか? そもそも……デーモン達の姿が色々種類はあるといえど統一ある真っ黒な体と赤く発光する目の時点で気付くべきだった。  そしてもう一つの問題がそのデーモン達。現存している宇宙空間の外枠を全て覆いつくす程の数。  どうしろと?  一部分のデーモン達をなんとかした所で、他のデーモン達が全てを破壊する。  ちなみにデーモン達は一応倒す事が出来る。何度目かは忘れたが、茂が次に繋ぐために体を張って試した結果わかった事だ。  全力で戦っていたのかは知らないが、茂一人でフィールドを展開する装置が破壊されるまでに倒したデーモンの数はたった三十五体。どう頑張っても無理。  おまけにデーモンは強い。体は石のように硬いと茂は言っていたし、口から吐き出す光線は小さな隕石の塊も木っ端微塵にする。  おまけに宇宙空間に滞在出来るときたもんだ。
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