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「任せろサリド。こういうときはだな、石を打ち合って火花を散らせるんだよ!」
そう言ってグラムは近くにあった小石二つを用意してそれを打ち合わせた。だが、石は脆く、その程度のことだったが壊れてしまったのだった。
「……、」グラムにもサリドにも、もう何も言えなかった。
「どうするよ? まさかこの枯れ枝を羽織って体を温める訳にもいくまい?」
「だーっ! 解ってるよ!! 木の板と枝で擦り続けてやるしかねーな!!」
そう言ってグラムは枝を使い木板を擦り始めた。サリドはそれを見て仕方なく床(といっても洞窟なので石、地面である)に寝転がった。
「おい、サリド。寝るつもりか」
「寝ねーよバーカ」
そんなやり取りをしてサリドとグラムの間に再び沈黙が生まれた。
†
「……んむ……、あたたかい……」
「お前やっぱり寝てただろ……。風邪ひくどころのレベルじゃねーよ……。むしろ死ぬぞ……」
サリドが目を醒ました頃にはグラムによって火種が作られた火が、轟轟と燃え盛っているのだった。
「こりゃすごいな……。いやぁ、危うく寝てしまったよ……」
サリドはそう言いながら起き上がった。
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