第一章 世界の涯にあるもの

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「とりあえず、こんなんじゃ外に出る事も出来やしねぇ。暖まって雪が止むのを待った方が良さそうだな」 グラムが言った言葉は珍しくも的を得ていた。 「……うん。確かにその通りだ。こんな吹雪の中、外を歩こうなんて考える奴がいるならそれこそ馬鹿だ。馬鹿に違いない」 「なんとなく馬鹿にされてる気がするのはなんでだろうな?」 サリドとグラムはそんな会話を交わした。そんな馬鹿らしくてアホらしい会話は夜を跨ぎ次の日の朝まで続いた。 「……おい、グラム。起きろ。死ぬぞ」 「……もう食べられねぇよ……むにゃむにゃ」 「なに寝ぼけた時の定番の台詞呟いてんだよ! 朝だぞ!」 サリドはそう言って何度もグラムの体を揺らす。というかこんなところで凡そ四時間も寝られるグラムの体がサリドにはよく解らなかった。 「……あぁ、もう、そんな時間か。で? 吹雪はどうなった?」 「それは自分で確認した方がいいと思うけどね」 そう言ってサリドは後ろを指差した。グラムはそれを見ようとして――あることに気が付いた。 サリドから後光がさしているのだった。否、それはよく見ると洞窟の入口から差し出している太陽の優しい日差しということも解った。
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