第零章 とある世界の四月一日

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「なあ、フランシスカ」 「どうした、サリド」 「知ってるか。今日は俺の誕生日だ」 「……分かっていた。はい」 そう言ってフランシスカは花を差し出した。 「……トルコキキョウ?」 「あなたがアネモネを差し出したように、私も花を返す」 「たしか、トルコキキョウの花言葉、って……」 サリドが花を受取りつつ、言う。 「『永遠の愛』……らしいよ? リリーが言ってただけでほんとかどうかは解らないけど」 「……へえ。で、さ。フランシスカ、もう一個言うことがあるんだ」 「どうしたの?」フランシスカはわざとらしく首を傾げて言う。 「実は……今日エイプリルフールなんだ。嘘をついていい日なんだよ」 「……そうか」 サリドはそのときちゃんとはフランシスカの顔は見なかった。だが、覇気というか怒っている感じは顔を見なくとも感じられた。 「あ、あの、フランシスカさーん……?」 刹那、サリドの頬にフランシスカの張り手が炸裂した。
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