第零章 とある世界の四月一日

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「そういえば、私が世界を調査して気になったことが一個だけある」 リーフガットは地図から指を放し、再び団子の棒を握るとまた団子を一つ頬張った。 「……なんですか?」 「レイザリーの北にはアルカパード山というのがある。それは知ってるな?」 リーフガットの言葉にサリドは小さくうなずいた。 「えぇ、確か神殿協会から聖山と呼ばれていた場所でしたっけ。だからレイザリーはしつこく神殿協会に領土の譲渡を要請され続けたとか」 「そうだ。……そして神殿協会は先の戦いにより解体されたはずだった。だが……そう簡単に話は進まないものだ」 「どういうことですか?」 「簡単に言えば済む話だ。あの“聖山”には未だ神殿協会の信者が大勢いる。やつら、まだ目的があるらしい」 そう言った頃にはリーフガットは団子串を一本食べ終えていた。 「……あのオリジナルフォーズを動かし、世界をほぼ壊滅させたというのに、まだ何か……あると?」 「簡単に言えば、そういう話だ。サリドとグラムにゃその調査を頼もうかと思うよ」 「何勝手に決めてるんですか!」 今度は今まで会話に参入して来なかったグラムが口を開いた。 が、 「なんだ?」 「いえ……なんでもないです!!」 リーフガットの言わずとも解る圧力で、グラムはすぐに口を封じられた。
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