第一章 世界の涯にあるもの

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というわけで。 「なんでこんな雪山に来なくちゃいけないんだよー!!」 サリドとグラムは“聖山”アルカパード山へと足を踏み入れていた。山は雪で覆われていた。まぁ時期が時期(今は4月である)ので仕方ない―― 「わけあるかぁ!!」 「ナレーションというかト書きに突っ込むなよ!! お前随分メタ発言だぞ!!」 「うるせぇ!! だっておかしいだろ?! グラディアでの最初の戦いが去年の7月で、そっから数ヶ月も経たない内に年が変わって! しかも今は4月だぁ?! そんな幻想(へんなはなし)誰が信じるんだよ!!」 サリドはグラムに突っ込むのも忘れてただただ引いていた。この男、流石にやり過ぎである。 因みに彼らがいる場所は山の四合目に位置する小さな洞窟だ。小さな地蔵にお供え物があるところ、ここが地元の神が住む場所なのだろうか。 雪は彼らの気持ちと反比例して益々強くなっていき、仕方がないのでここにきた次第であった。 「……にしてもこんなところに洞窟があるなんてなぁ……。逆に良かったぜ。ここでなかったら俺たちのたれ死んでらぁ」 グラムがそんなことを言いながら天井を見渡していた。サリドはそれに目をくれることもなく近くにある枯れ枝を集め始めた。
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