きっかけ

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今となって思えばとんだ勘違い野郎だ 最近声が聞こえて、自分だけにしか聞こえないんだよ こんな事を友達に話しても怖がられるか、羨ましがられるかのどっちかだった 母に話しても嘘ついて何が楽しいの そんなんで終わりだった だからもう言わない事にした 雨心の声は私だけの特別な声 そう思うようにした ある日私は皮膚の伝染病に感染した 部屋はもちろん個室 皮膚は全身ボロボロと落ちていった 痒い…痛い… 掻けば掻くほど皮膚は剥がれ落ち、体からは血が滲んだ 親は一度も見舞いに来なかった 今でもはっきり覚えてる ベッドとトイレしかない部屋 窓は小さく 鉄格子が填められていて 扉は鉄で出来ていて重かった そんな中で2ヶ月過ごした その2ヶ月の間、自分の大好きな運動会もあった… 参加したかった… 私は小さな頃は何でも出来た 絵を描けば先生から褒められ リレーで走れば一等賞 友達が喜んでくれた 勉強も授業中聞いていなくてもテストは満点 普通だと思ってた 雨心という声の友達がいるって以外は この頃からだろうか 自分の記憶が曖昧になりだしたのは 記憶が途切れる でも雨心は覚えてる そう 私が記憶を無くしている間は雨心が私の体を使って行動してた 雨心と話してそれが分かっても困りはしなかった 雨心は勉強出来たし 礼儀正しかった 大人しかったけど… 友達の前では無口だったけど… 別に困らなかった これが続くだけだと思ってた
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