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部屋に入って月華から主に切り替わる
主はさっきの間見ていた
兄と喧嘩して母に頬を叩かれる間
出ている月華の横で
泣いた
声を殺して泣いた
首に当たった包丁の感覚がまだ残ってる
ティッシュで首の傷を押さえた
血が滲む
絆創膏を貼って座り込む
足が震えて腰が抜けている
何を言われても、何をされても私は家族が好きだった
だから悔しかった
とくに母が好きだった
自分に無関心であっても好きだった
母は兄を溺愛していた
父も、両親の祖父母も親戚もみんな
兄を好いていた
私は…そんな兄が羨ましかった
兄は勉強も出来なければ、運動神経が良いわけでもない
出来ない子ほど可愛いというのは本当らしい
そう思った
良い子でいよう
泣かず、怒らず、元気で、明るく、聞き分けの良い子
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