最終章

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その時、ちょうどエレベーターから降りてきた男は、階段を上り始める石井の姿を見て驚いた表情をする。 「あれ、今のって石井さん?」 一緒にエレベーターに乗っていたもう1人の男も見る。 「確か石井は今日、休みだったはずだけど……忘れ物でもしたのかな?」 「そうかもしれませんね。……それよりも、早く行かないと取引先に遅れますよ」 「そうだな」 特に気にした風もなく、2人は外に出て行った。 5分後、石井は屋上にたどり着くと、角の方へと歩いて行き立ち止まる。 目の前にはスクランブル交差点があり、大勢の人が行き交いしていた。 石井はガラス瓶を持った手を上げ、投げる姿勢をとる。 その時だった。 屋上の扉が勢いよく開き、背後から誰かが駆け寄って来たのだった。
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