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すると、携帯から何かの音が聞こえた。
それは、先程も聞いた音だった。
「どうやら、エレベーターが止まったみたいだな」
「……そうみたいですね」
その直ぐ後に、扉を開くような音が聞こえてくる。
そして、少しの沈黙の後、電話越しから男の声が聞こえてきたのだった。
篠原と小野村は耳を清ます。
『待っていました、亜沙美さん……』
その声を聞いた篠原は、口元に手を当てながら考える。
……この声、どこかで。
思い出そうと考えていると、今度は亜沙美の声が聞こえてきた。
『……やっぱり、あなただったのね。……斎藤君』
……斎藤?
篠原は過去の記憶を辿(たど)って行く。
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