扉の向こう

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 どこかで雷がとどろいた。  真っ黒い不気味な雲が、空をおおいつくしている。  豊かな流れは、今や土砂を含んで恐ろしいほどに速く、大きく膨れあがっている。  誰かが叫んだ。続いて何人かがまた叫ぶ。  その声をかき消して、濁った川がごうごうと渦を巻く。  夕方のような薄暗い空が一瞬、白く輝いた。  続いて、その空が落ちてくるかと思える程の轟音が鳴り響く――
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