濁った世界の片隅で

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髪の先が微かに見えた 先端は針のように鋭く固まっていた 「私って…こんなに髪長かったんだ……」 なに下らないこと言ってんのか… 今ならそう思う 「……はぁ…はぁ…はぁ…誰かぁ………」 呼んだって来ない 来るわけ… ─ブーン……キキィ… 「……あ…」 車の音?! 助けに来た! お父さんとお母さんだ!やっぱり私を見捨ててなかったんだ! 私は必死に力を振り絞り、立ち上がろうとしたが力が入らない 感覚すら感じない 「あ………あ………」 靴音が近くで聞こえる!お父さんとお母さんが近づいてきてる! …しかし、私の目の前に映ってるのは黒い革靴の群れだった 「…え……?」 「本当に少女が捨てられてたぞ、あの夫婦の言ってる事本当だったんだな」 何言ってるの…? 捨てられてた少女…? あの夫婦…? 「まあ、顔はわりと良い方か」 「茜様に手入れして貰えば、売り物になるぞ」 「よし、連れていけ!」 男の掛け声で、私の体は車につまれた
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