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それは、
季節はずれの雪が舞う、
春の初めのある日――
「うわっ、さむぅ~」
私、結城早紀(ユウキ サキ)は、
いつもの通学路で突然吹いた風に、
首をちぢめた。
高校2年の、
始業式の帰り。
昼前には学校は
終わっていたけど、
つい友だちとおしゃべりをして、
もう夕方近い。
鼻の頭に、
つめたいものが当たる。
空を見上げて驚いた。
「ウッソ、雪ぃ…?」
近くを歩いていた知らない女の子が、
感激しながら
ケータイにしゃべりかけている。
「すごーい! あのね、雪と桜がいっしょに散ってるんだよー!」
うちの県では、たまに、
春でもとても寒くなることがある。
それでも、
こんな景色は
めったに見られない。
私も感動していた。
「そうだ。いまなら…」
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