15615人が本棚に入れています
本棚に追加
一通のメールが、私の携帯に届いた。
それは、非現実的で驚愕の世界への小さな入口。その幕開けとなる第一歩だった。
《受信メール1件:母》
「ん? あれっ?」
「どしたの円香(まどか)?」
私の向かいに座る雛子(ひなこ)が、不思議そうに首を傾げていた。
放課後になると、必ず立ち寄るファーストフード店で、私達はいつも通りお喋りをしていた。
「いや、お母さんからメールきたんだけどさ……」
普段急用がない限りは連絡などして来ない母。
胸騒ぎがした。
「ちょ、ちょっとごめん」
一言謝罪し、携帯のキーを操作する。
《円香さんへ。
初めまして。これは、貴女のお母さんの携帯ですよね?
知ってます。
だって、僕の傍らには、貴女のお母さんが居るのですから。
だからね?
分かりますよね?
誰にもこの事を言ってはなりません。
盗聴もビデオカメラも、ちゃんと設置してありますからね。
嘘だと思うなら、警察に電話してごらんなさい。
僕は捕まるでしょう。
でもね?
貴女のお母さんも、この世からさよならする事になります。悲しいですね》
最初のコメントを投稿しよう!