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「疲れた……」
緊張のせいで、私は疲れていた。
ベッドへ携帯を放り投げ、自身の体も横たえる。
今もきっと監視されているだろう。
気持ち悪さだけは拭う事は出来ない。けれど、体に溜まった疲労感は相当なものだった。
ひとまず目を閉じる。
今日はもう、犯人と接触する事は無い。
シャワーを浴びる事も、夕飯を食べる事も忘れ、少しだけ体を休める事にした。
少しだけ……。
その日、私はそのまま泥のように眠ってしまった。
極度の緊張と恐怖。
そして、非日常的な出来事を受け入れる事で精一杯だった。
眠りにつく時、まるで体が暗く光りの無い闇へと、ゆっくりと落ちていった。
その時点で私は既に、二度と引き返す事の出来ない場所へと、足を一歩踏み出していたのだった。
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