第一幕:プロローグ

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「お母さん!」 私は母を呼びながら、キッチンへと向かう。 築年数の経った家の床が、ミシミシと音を立てる。 母の姿は見当たらないが、朝と変わりなく部屋は片付けられていて、誰かが侵入した形跡は無かった。 居ない。本当にあのメールの通りなの? 不安になりながらも、ふとある事に気付いた。 「お母さん……まだ帰って無いだけかも……」 私はポケットに仕舞った携帯を取り出し、さっき送られてきたメールを読み返す。 どこか気持ちの悪い文章。 母の携帯から送られているとすれば、やっぱり、母は何処かへ連れ去られているのかも知れない。 悪戯だとしたら、タチが悪すぎる。 「でも、携帯を落としてしまったとか……」
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