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奈菜は大きく目を見開き雛子を見つめた。
フラッシュバックする輝の表情。
あれは輝だった。
そう言い切れる根拠は元々何も無かったが、以前の円香とは雰囲気も表情も性格も、何もかもが違って見えていたのは確かだった。
「まさか……」
「今となっては分からない……でもね、あたし二つ気づいた事があってね」
雛子は口を開きながら涙を指で拭う。
「気づいた事……」
「以前の輝のやり方を、あたしはすぐ近くで見たんだ。殺しに戸惑いが無くて、慈悲も感じられなかった」
「うん、それは田島君から聞いてたけど……でも、香を人質にとって私たちをゲームに誘い込んだじゃない」
奈菜は腕を組み反論する。
半年以上前の事件が、鮮明に思い出され総毛だっていたのだ。
しかし雛子は首を横に振る。
「それが菊池を殺す為の口実だったとしたら?」
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