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ピンポーン……
あれ、こんな時間から誰だろう。
扉を開けるとそこには……
「やあ御巫君」
「………」
「ちょ、ちょっと待てどうして無言でドアを閉めようとする!」
「……お前がこんな時間に来るのは、どうせろくな理由じゃない」
こいつの名前は神崎 颯(かんざき はやて)。
笑うと歯キラーンなイケメンさわやか好青年。
しかし女ったらし。
たまにたぶらかした女の彼氏に追いかけられて俺の部屋に避難してくる。
正直非常に迷惑。
でもこいつ、料理とか超上手いし。
まあ、特技の大半は女の子をナンパするために身に着けたものなんだが。
何もしなくても女の子のほうから近寄ってくるのに、なんでナンパなんかしてんだろ。
本人曰く
「かわいい子がいたら声かけないと女の子に失礼でしょ」とのこと。
そのせい痛い目にあってるはずなのに、すごい信念だよ。
「いや、今回はマジでやばいんだって!」
「なんだ、またラグビー部か?」
「いいや、そんな髪の色が変な人みたいな設定はねえよ」
「じゃあ、今回は何部に追いかけられてるんだよ?」
「柔道場、あいつらまじやばい、家包囲してるおかげで昨日から家に帰れてない」
「そうか、がんばれ」「頼むよ御巫!お前だけが頼りなんだ」
「俺は今忙しいんだ」
暇だけど。
「嘘だ!明らかに面倒くさいからかかわりたくないって顔してる!」
あ、ばれました?
「なあ頼むよー、今にもここにいるのがばれるかもしれないんだよー、そうなったら御巫にも迷惑かけちゃうよー」
すでに大迷惑です!
「あー、もうわかったわかった、上がれよ」
「まじで!?やったサンキュー!」
ふう、朝から厄介なやつを背負い込んでしまった。
「あ、俺しばらくここに泊まっていくから」
「…………」
どうかこいつの居場所がばれないことを祈ろう。
柔道部なんぞに包囲されるのはごめんだ。
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