忘れられた都とオレ

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「はじめまして、ヒュー・ルーウィックと申します。よろしくお願いしますね」 爽やかに笑うヒューにユクは瞬きするのも忘れて固まっていた。 用事が済んだヒューを迎えて、オレ達はユクとの親睦を深める意味も含めて、宿屋の一階で夕食を取っていた。 「ユク……」 そうだろうなぁと思いながら、オレはユクに声をかける。 ヒューは美男子だし、物腰も柔らかく丁寧だ。 たいていの女性が彼に対して好印象を持つのはごく当たり前のことだ。 「えっ……は、はい! あたしはユク・エヴィーネです。ユクと呼んでください」 顔を真っ赤にしたユクは、ヒューにそう答えた後、物凄い勢いで、ユクの隣にいたオレの肩をつかんで叫んだ。 「リ、リデルさん……こ、こちらの方はどなたなんですか?」 「今、聞いたろう? 『白銀の騎士ヒュー・ルーウィック』だよ」 「白銀の騎士……」 ユクはやっぱりという表情でヒューを見つめた。
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