天才魔法使いとオレ

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宮殿の入り口には黒いクロスが掛けられたテーブルがあり、その前に腰掛けられるように椅子が置かれていた。 テーブルには『聖石の欠片』と思(おぼ)しきものが見え、両脇に宮殿の守備兵が立っていた。 並んでいた人だかりは、あらかた神託を受け、残っているのはオレ達だけだった。 オレは門兵との一件を教訓にして、ユクを前に立たせると、一歩後ろに下がった。 これなら、勘違いされることもない筈だ。 いつの間にか、あの偉そうな兄ちゃんは姿を消していた。 どうやら、中へ戻ったらしい。 受付の兵は、証書を確認するとユクを椅子に座らせた。 「告知官の前で行った時と同様にせよ」 ユクが兵の指示を受け、聖石に手をかざすと欠片がぼーっと薄く輝いた。 他の人がやるのも見ていたが、その見た中でユクのが一番はっきりとしていたように思えた。 受付の兵達も少し驚いたようにユクを見た後、互いを見て頷き合う。 「ユク・エヴィーネ、本人に間違いない。入城を許可しよう……で、お前たちは?」 怪訝な顔つきでオレ達を睨んだ。
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