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で、なんでこんな羽目に陥ったかと言うと……この世に奇跡を起こすという聖石の力と相棒のクレイのせいだと言っていい。
聖石に願いは何かと問われたオレが『世界最強の男にしてくれ』と言い終わる前に、横から相棒のクレイが『美少女にしてくれ』なんて口をはさんだものだから『世界最強の美少女』になっちまったって訳だ。
う~っ、思い出しても腹が立つ。
そもそも、こいつのせいでこんな情けない状況になってるのに、なんで今、こいつに上から目線でお説教を受けなきゃならないんだよ。
言い返そうとオレが口を開くよりも先に、後ろからクレイの前に進み出た少女が、おどおどした表情でクレイに頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。あたしが悪いんです」
ユク・エヴィーネは泣きそうな顔で謝った。
話は少し遡(さかのぼ)る。
カイロニアの公都ルマを出立したオレ達一行は順調に旅を続け、帝都イオス・ターナまで、あと2、3日の所まで到着していた。
ちなみに一行とは、不幸を一身に背負う可哀想なオレ(リデル)、腕は立つし頼れるけど変態な傭兵クレイ、美形だけど女心に鈍い白銀の騎士ヒュー、クレイの幼馴染で謎多き清楚な美女ソフィアの4名だ。
む、何か反論の声が聞こえてきそうだけど、敢えて無視する。
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