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男達は武装しているところを見ると、傭兵か傭兵くずれといった感じで、一方の少女は華奢な身体をしたおとなしそうな娘でオレより幾つか年下に見えた。
「ご、ごめんなさい。あたしがぼーっとしてたもんだから……」
少女は何度も謝っていた。
それに対し男達はにやにやと笑い、舐めるような目付きで少女を眺めている。
会話から推測するに、少女は男達の誰かとぶつかったらしい。
その拍子に男が手に持っていた串焼きのようなものを地面に落としてしまったようなのだ。
男達が慰み半分で因縁をつけ、少女がひたすら謝るという図式だ。
「そうだなぁ、許してやらんこともないが、それにはだ」
いきなり、リーダー格の男が少女の腕をつかんだ。
「それ相応の誠意を見せてもらおうじゃないか?」
顔を近づけ、酒臭い息を吹きかける男に、少女は青白い顔で身体を硬くする。
「おい! いいかげんにしないと天罰が下るぞ」
突然、声をかけられ、一瞬驚いた素振りを見せた彼らは訝しげに振り向くと、オレの姿を見て呆気にとられた。
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