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「…………カ、カレー」
「…………。」
「ほら、冷めちゃうと……ダメだよな?
腹も減ったし――」
「カレーなんてまた温め直せばいーでしょ」
「……ッ、ま、て……アリ…ベ――ッ」
口をついて出てくるのは、抵抗する言葉。
押しのけようとする手。
恥ずかしがって、嫌がる素振りを見せたって、僕は知っている。
……だってさ。
超多忙なスーパーモデル様が、連休を取れるわけないじゃない。
自分の口からワガママを言って、日程を調整しない限りは、連休なんて取れるわけがない。
それも御丁寧に、僕の誕生日に合わせて。
素知らぬフリをしたって、バレバレだ。
……それに。
「……目は口ほどに物を言う、って……よく言うよね?」
言って、苦しそうに息をする口を塞いだ。
……全国の皆様に言いたい。
世間で有名なスーパーモデル様は、僕の幼馴染みだ。
公表されていない過去のことも。
テレビでは絶対に見せない顔も。
僕は全部知っている。
……だって、当たり前だ。
かなり遠回りしてしまった気がするけど。
もはやただの幼馴染みなんかじゃなくて。
クーちゃんは、僕の……
――“恋人”だからだ。
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