エピローグ

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「ちょっと、クーちゃん!埃(ほこり)っぽくなるから止めてよ!」 「む~!アリベル!メシは!?」 「もう出来るってば!」 言うと同時に、ちょっと乱暴にキュウリの蔕(へた)を切り落とすと、包丁の音に驚いたクーちゃんがすぐに押し黙った。 ……あ、そうそう。 忙しいスーパーモデル様は、今日は久しぶりの休日だ。 夕方まで、ずっとダラダラゴロゴロ。 そのうちカビが生えるんじゃないかとさえ思う。 ……いや、もう生えてたりして。 僕が気付いていないだけでさ。 「クーちゃん、料理出来たから。運ぶの手伝ってよ」 「…………。」 包丁を洗いながらソファーに呼び掛けてみたけれど、反応は無い。 ……もしかして……さっきので拗ねちゃったとか? ……い、いやいや! あれはどう考えても僕が正しい! そもそも日頃の忙しさを言い訳にして、料理を全部丸投げにしたクーちゃんが悪い! 「あの……クーちゃん?」 「…………。」 使い終わった調理用具を洗い終わった後、タオルで手を拭きながらもう一度呼んでみたけど反応は無い。 ……な、なんだろう、この罪悪感。 いや、僕は昔からクーちゃんのことを甘やかしすぎなだけだ。 なんて思いながら、ソファーに視線を遣ると。 「……なに?起きてるんだったら返事してよね」 大きなウサギのぬいぐるみのユカリさん。 そのユカリさんを抱えながら、ユカリさんの陰からジッとこちらを見ていた薄紫の瞳。 僕が言えば、慌ててユカリさんを盾にして顔を引っ込めた。 「……クーちゃん?」 二人分のサラダを手にしながらリビングへと足を踏み入れて。 テーブルの上にサラダを置いた。 で、ユカリさんを引きはがす。 するとワタワタしながら世のスーパーモデル様が姿を現した。 「……なに?料理してる僕の顔に何かついてた?」 「……い、や……アレだ」 「なに?」 「……………………包丁」 「…………。」 「……あんな……勢いよく切ったら…………刃こぼれ、するかなって……」 目を逸らしながら。 恐らく必死に頭を働かせながらの言葉に、思わず溜め息。
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